原子力災害医療研修体系について
原子力災害医療研修は、原子力災害時に中核的な役割を果たす医療従事者の育成を目指して実施されています。
2021年度(令和3年度)からは新研修体系へ移行し、研修が体系化され「ステップアップ方式」となりました。
テキストは標準化がはかられており、研修の質を担保すべく、量子科学技術研究開発機構(QST)内には「被ばく医療研修認定委員会」が設置されました。
また、2022年度(令和4年度)からは、研修内容の改良及び新規研修の提案を行う研修部会が、QST、弘前大学、福島県立医科大学、広島大学、長崎大学の連携のもと設置されました。
※2023年度(令和5年度)、福井大学が高度被ばく医療支援センターの一つとして加入。
「被ばく医療研修認定委員会」ウェブサイト
研修テキストダウンロードページ
新研修体系について
新研修体系は「ステップアップ方式」です。
そのため、受講生は下図の矢印に沿って研修受講を進めていきます。
申込や研修開催予定等の確認は「被ばく医療研修ポータルサイト」から行うことができます。受講は無料です。
各研修修了後には修了証書が発行されます。修了証書の有効期限は「発⾏⽇の3年後の年度末」とされており、修了証書の期限内(認定期間内)に、受講資格のある研修を再度受講することにより期限は更新されます。
なお、2021年度(令和3年度)から2023年度(令和5年度)は、新研修体系への移行期間として位置付けられています。
そのため、旧研修体系修了者*は、一律に認定期間を2023年度(令和5年度)末までとされています。
また、研修部会より、2022年(令和4年)10月4日付で、旧研修体系修了者の認定期間の延長について方針が示され、
「旧研修体系の中核人材研修、派遣チーム研修修了者について、基礎研修の修了により、認定期間を3年間延長する」こととなりました。具体的には以下のとおりです。
*旧研修体系修了者:2014年度(平成26年度)から2020年度(令和2年度)までに開催された研修(基礎、中核人材、派遣チーム)を修了した者
基礎研修の修了年度 | 旧研修体系の中核人材研修、派遣チーム研修の認定期間 |
2021年度(令和3年度) | 2024年度(令和6年度)末まで延長 |
2022年度(令和4年度) | 2025年度(令和7年度)末まで延長 |
2023年度(令和5年度) | 2026年度(令和8年度)末まで延長 |
<お詫び>2023年1月20日追記
これまで、こちらのページに「期限の更新においては、上位の研修の期限を更新することにより、下位の修了証書の期限も延長されます。」と記載がございましたが、研修部会より、2023年1月6日付で以下方針が示されたことを受けまして、削除としております。関係者の皆様におかれましては、ご理解をいただきますようお願い申し上げます。(以下、研修部会の通知文書抜粋。)
新体系における研修コースの更新については、以下の考え方を原則とする。
・各研修コースは独立した認定期間を持つ。
・研修コースの更新は各々の研修コースごとに独立して更新を行う。
「被ばく医療研修ポータルサイト」へ
「研修Q&A」へ
「研修予定(長崎大学主催)」へ
「過去の研修報告(長崎大学主催)」へ
新研修体系
各研修概要
基礎研修
研修名 | 原子力災害医療基礎研修 |
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対象者 | 原子力災害医療、被ばく医療に関連する業務等を行う者 |
目 的 | 放射線の基礎、影響、防護、汚染検査、除染、安定ヨウ素剤、避難退域時検査、避難と屋内退避について理解する。 |
内 容 (講義) | 1.原子力防災体制 2.放射線の基礎 3.放射線の影響 4.放射線防護 5.汚染検査・除染 6.安定ヨウ素剤 7.避難退域時検査 8.避難と屋内退避の支援 |
内 容 (実習・演習) | 無 |
開催場所・ 開催方法 | オンラインまたは対面(主催団体の判断による) |
研修期間 | 1日 |
開催頻度 | 主催団体の判断による |
定 員 | 10~50名(主催団体の判断による) |
専門研修
研修名 | 原子力災害医療中核人材研修 |
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対象者 | 原⼦⼒災害医療基礎研修もしくは令和3 年4 ⽉以降の原⼦⼒災害医療中核⼈材研修を修了し、有効期限内の修了証を有する者 |
目 的 |
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内 容 (講義) | 1.医療機関の原子力災害対策 2.医療機関での初期対応 3.放射線障害の診断と治療 4.外部被ばくと内部被ばくの線量評価 5.原子力災害時のメンタルヘルス 6.放射線管理要員の役割 7.原子力災害事例 |
内 容 (実習・演習) | 実習 1.放射線測定器の取り扱い 2.ホールボディカウンターによる計測 3.防護装備着脱 4.医療施設の養生 5.除染 6.傷病者の汚染検査 7.被ばく・汚染傷病者対応 +机上演習 |
開催場所・ 開催方法 | オンライン講義+対面実習(長崎大学) ※全て対面実施とする場合もございます。 |
研修期間 | 3日 |
開催頻度 | 年2回程度(長崎大学開催分) |
定 員 | 20名 |
研修名 | 原子力災害医療派遣チーム研修 |
対象者 | 原⼦⼒災害医療中核⼈材研修もしくは令和3 年4 ⽉以降の原⼦⼒災害医療派遣チーム研修を修了し、有効期限内の修了証を有する者 |
目 的 | 原子力災害医療派遣チームの活動に必要な知識と技能の習得 |
内 容 (講義) | 1.原子力災害医療派遣チーム 2.原子力災害医療派遣チームの活動 3.原子力災害時のリスクコミュニケーション |
内 容 (実習・演習) | 実習 1.汚染・被ばくした傷病者対応 +机上演習 |
開催場所・ 開催方法 | オンライン講義+対面実習(長崎大学) ※全て対面実施とする場合もございます。 |
研修期間 | 1日 |
開催頻度 | 年4回程度(長崎大学開催分) |
定 員 | 20名 |
研修名 | 甲状腺簡易測定研修 |
対象者 | 原⼦⼒災害医療基礎研修または原⼦⼒災害医療中核⼈材研修を修了、もしくは令和3年4⽉以降の甲状腺簡易測定研修を修了し、有効期限内の修了証を有する者 |
目 的 | NaI(TI)サーベイメータを用いた甲状腺簡易測定方法の習得 |
内 容 (講義) | 1.原⼦⼒災害対応 2.甲状腺簡易検査 |
内 容 (実習・演習) | 実習 1.甲状腺簡易測定 総合討論 1.実習の解説と質疑応答 |
開催場所・ 開催方法 | 対面実施(拠点病院、協力機関等) |
研修期間 | 半日 |
開催頻度 | 年4回程度(長崎大学開催分) |
定 員 | 20名 |
研修名 | ホールボディーカウンター(WBC)研修 |
対象者 | 原⼦⼒災害医療中核⼈材研修もしくは令和3 年4 ⽉以降のホールボディカウンター研修を修了し、有効期限内の修了証を有する者 |
目 的 | 原⼦⼒災害医療拠点病院での被ばく線量推定、測定を⾏う⼈材の育成 |
内 容 (講義) | 1.線量評価の概念 2.体外計測法 3.バイオアッセイ法 4.公衆の線量評価 |
内 容 (実習・演習) | 実習 1.γ線スペクトロメトリ 2.WBC 3.内部被ばくの計算 総合討論 1.質疑応答 |
開催場所・ 開催方法 | 未定 |
研修期間 | 2日 |
開催頻度 | 年2回程度(量子科学技術研究開発機構(QST)主催) |
定 員 | 20名 |
研修名 | 染色体分析研修 |
対象者 | 原⼦⼒災害医療基礎研修もしくは令和3 年4 ⽉以降の染色体分析研修を修了し、有効期限内の修了証を有する者。 高度被ばく医療支援センター及び原子力災害医療・総合支援センター等の染色体分析の専門技術者。 |
目 的 | 原子力災害発生時、原子力災害拠点病院等の支援を行う高度被ばく医療支援センター及び原子力災害医療・総合支援センターにおいて、原子力災害時に必要な染色体による線量評価を行えるよう、専門的な知識及び技能を有する人材を育成する |
内 容 (講義) | 1.放射線事故災害と被ばく医療 2.被ばく線量推定~染⾊体分析を中⼼に~ |
内 容 (実習・演習) | 実習 1.「画像診断練習」ギムザ染⾊法による⼆動原体分析・FISH 法による転座分析 |
開催場所・ 開催方法 | オンライン講義 |
研修期間 | 半日 |
開催頻度 | 年1~2回程度(量子科学技術研究開発機構(QST)主催) |
定 員 | 20名 |
高度専門研修
研修名 | 高度専門被ばく医療研修 |
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対象者 | 原⼦⼒災害医療派遣チーム研修もしくは⾼度専⾨被ばく医療研修を修了し、有効期限内の修了証を有する者 |
目 的 | 高度専門的対応が必要な患者を受け入れ、診療するのに必要な専門知識の習得研修、最新のトピック |
内 容 (講義) | 令和3年度の例 【Introduction】・LRI の概念と主な過去事例 【臨床上の視点】・放射線⽪膚炎の重症度予測と対応 【線量評価】・物理学的評価・⽣物学的評価 【LRI に対する治療】・形成外科治療 【LRI に対する治療】(特別講演)・間葉系幹細胞による治療経験 総合討論 |
内 容 (実習・演習) | 無 |
開催場所・ 開催方法 | オンライン講義 |
研修期間 | 半日 |
開催頻度 | 年1回程度(量子科学技術研究開発機構(QST)主催) |
定 員 | 25名 |
研修名 | 講師養成研修 |
対象者 | 原子力災害医療中核人材研修(過去研修含む)、原子力災害医療派遣チーム研修(令和3 年度以降開催)、WBC 研修(過去研修を含む)のいずれかの修了者または講師登録者。 |
目 的 | 専門研修「原子力災害医療中核人材研修」「原子力災害医療派遣チーム研修」「WBC 研修」「甲状腺簡易測定研修」の実習の指導のポイントを取得する。 |
内 容 (講義) | 令和3年度の例 講義 1 放射線測定器の取り扱い実習のポイント 講義 2 防護装備着脱実習のポイント 講義 3 医療施設養生実習のポイント 講義 4 WBC 計測実習のポイント(中核人材研修、WBC 研修) 講義 5 傷病者汚染検査実習のポイント 講義 6 除染実習のポイント 講義 7 被ばく医療実習のポイント 講義8 甲状腺簡易測定実習のポイント 講義 9 γ線スペクトロメトリ実習のポイント 講義 10 内部被ばく線量の計算のポイント |
内 容 (実習・演習) | 無 |
開催場所・ 開催方法 | オンライン講義 |
研修期間 | 半日 |
開催頻度 | 2年1回程度(量子科学技術研究開発機構(QST)主催) |
定 員 | 50名 |
研修名 | 体外計測研修 |
対象者 | 高度被ばく医療支援センター及び原子力災害医療・総合支援センターで、体外計測による被ばく線量の推定・測定に従事し、ホールボディカウンター等の周辺機器類の管理を行っている者、及びこれから行う方で、ホールボディカウンター研修もしくは簡易甲状腺計測研修を修了し、有効期限内の修了証を有する者。 |
目 的 | 高度被ばく医療支援センター及び原子力災害医療・総合支援センターにおいて、体外計測により内部被ばく線量の推定・測定・評価を行う人材を育成すること。 |
内 容 (講義) | 令和3年度の例 講義1 ホールボディカウンタ(WBC)を用いた体外計測 講義2 甲状腺モニタを用いた体外計測 話題 原子力災害時の甲状腺モニタリング(原子力規制庁検討チーム報告書) |
内 容 (実習・演習) | 令和3年度の例 実習1 γ線スペクトロメトリ(応用編)QST 甲状腺モニタ(デモ) |
開催場所・ 開催方法 | 量子科学技術研究開発機構(QST) |
研修期間 | 半日 |
開催頻度 | 年1~2回程度(量子科学技術研究開発機構(QST)主催) |
定 員 | 1~2名 |
研修名 | バイオアッセイ研修 |
対象者 | 高度被ばく医療支援センター(基幹高度被ばく医療支援センターを含む)及び原子力災害医療・総合支援センターで、バイオアッセイ法による被ばく線量の推定・測定に従事し、分析測定機器及び周辺機器類の管理を行っている方、及びこれから行う方。 ※本研修については、参加のためにその他要件がございます。詳細は、「被ばく医療研修ポータルサイト」に掲載されている募集要項をご覧ください。 |
目 的 | 高度被ばく医療支援センター及び原子力災害医療・総合支援センターにおいて、バイオアッセイ法により内部被ばく線量の推定・測定・評価を行う人材を育成すること。 |
内 容 (講義) | 令和3年度の例 バイオアッセイに基づく内部被ばく線量評価 予防規程(座学) 保安教育(座学) 施設教育(線量評価棟施設見学)及び実習準備 |
内 容 (実習・演習) | 令和3年度の例 実習 1 前処理:有機物分解 実習 2 核種分離 実習 3 測定試料作成及び測定 実習 4 試料測定 実習 5 内部被ばく線量評価 話題 プルトニウム内部被ばく事故対応 |
開催場所・ 開催方法 | 量子科学技術研究開発機構(QST) |
研修期間 | 3日間 |
開催頻度 | 年1~2回程度(量子科学技術研究開発機構(QST)主催) |
定 員 | 1~2名 |
研修名 | 高度専門染色体分析研修 |
対象者 | 染色体分析研修を修了または染色体分析に関する知識・技能を有する高度被ばく医療支援センターの職員、臨床染色体検査技師など。 |
目 的 | 染⾊体分析研修を、原子力災害発生時に対応するため、実際の染色体検査でみられる様々な状態の標本に対応できる実践的技能の習得を目指す。さらに、自らの施設で作成した標本の評価及びその標本に基づく線量評価の実践、国際標準手順書の知識という、より実際の検査に合わせた経験を積み、発展的技術をも共有することを目指す。 |
内 容 (講義) | 令和3年度の例 講義「高度染色体分析法」 分析法に関する最新の技術開発情報、実施する上での留意点及び生物学的線量評価に関する国際標準化機構(ISO) プロトコールの内容 |
内 容 (実習・演習) | 令和3年度の例 演習「高度画像解析演習」 染色体分析研修よりも判断が難しい画像や、様々な施設や様々な品質の画像に対して、判定の統一化を図るための練習 総合討論 |
開催場所・ 開催方法 | オンライン講義 |
研修期間 | 半日 |
開催頻度 | QST未発表 |
定 員 | 20名 |